2016/07/09

そこはかとない良さのある景色が好きです。「そこはかとない良さのある景色」フリー素材動画サイトとかあったらいいな。どんな景色やねん、と言われるとアレですが..なんでもよくて..木の葉がはらはらおちてくるとか、道路に書かれてる子供の落書き跡とか、車でトンネルを抜けたあと雨がガーっと降ってたりとか。そんな感じ!

 

ジョギングコースにある自動販売機の並び。かわいい。

 

ネタ的じゃないような、おしつけがましくないものって、あとあと思い返したり、妙に印象に残りやすい気がします。

景色ではないけれど、吉野弘が中学校の教科書に載せてた詩が好きで、当時授業中に読んでるとき「地味..」しか思わなかったのに学校帰宅中にすごく気になりだして、学生鞄から教科書を出して何度も読みながら帰った記憶があります。なんか似てる気がする。ネットに落ちてましたがこれですね。懐かしい。

 

 

いつものことだが

電車は満員だった。

そして

いつものことだが

若者と娘が腰をおろし 

としよりが立っていた。

 

うつむいていた娘が立って

としよりに席をゆずった。

そそくさととしよりが坐った。

礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。

 

娘は坐った。

別のとしよりが娘の前に

横あいから押されてきた。

娘はうつむいた。

しかし

又立って

席をそのとしよりにゆずった。

としよりは次の駅で礼を言って降りた。

 

娘は坐った。

二度あることは と言う通り

別のとしよりが娘の前に

押し出された。

可哀想に。

娘はうつむいて

 

そして今度は席を立たなかった。

 

次の駅も

次の駅も

下唇をギュッと噛んで

身体をこわばらせて

 

僕は電車を降りた。

 

固くなってうつむいて

娘はどこまで行ったろう。

やさしい心の持主は

いつでもどこでも

われにもあらず受難者となる。

 

何故って

やさしい心の持主は

他人のつらさを自分のつらさのように感じるから。

やさしい心に責められながら

娘はどこまでゆけるだろう。

下唇を噛んで

つらい気持ちで

 

美しい夕焼けも見ないで。

 

泣ける!

こちらは高田渡が歌ってるやつです。